Tuesday, April 15, 2008

穀物価格上昇

最近よく耳にするようになった標記の話題だけれど、以下のリンク先でNYTの記事になっていた。

http://www.nytimes.com/2008/04/16/world/europe/16food.html?ref=world


ハイチなど深刻な問題となっている国もあるということだけれど、本問題は、様々な要因が絡み合っていて、複雑だ。

先回のエントリーで紹介したBiofuelに係る作目転換による穀物値段の上昇についても記事では触れられていた。加えて天候不順や高い石油の値段や輸送コスト、比較的裕福となったアジア各国の肉類や酪農品の需要増などが理由として考えられているとのこと。

農業という観点だけで見ると、近代農業が肥料を使用して農業生産性を高めてきたわけだけれど、工場での肥料の生産に必要な石油の値段は高いし、そもそもその資源枯渇の懸念などから研究されてきたBiofuel(この場合はとうもろこしが原料のFuel)の利用促進が、別の形で農産物の価格が高騰した理由のひとつになっているというのは皮肉なことかもしれない(ちなみに日本の農水省のHPによると、食料と競合しない日本型バイオ燃料生産拡大対策に向けての取り組みも行われているよう)。

もちろんBiofuelが唯一の理由ではないだろうし、各種ある理由の中でメジャーなのかどうかも今言えないけれど。

こういった背景があれば、食糧安保的な考え方から自給率をあげなければという議論もでてくると思う。特に日本はカロリーベース総合食糧自給率はH18年度で39%(出所:MAFFホームページ)と低い数字であり、今後の国内議論には注目したい。

Simpleに言えば、解決の為には食糧が増産されればいいのだけれど、その為には環境に配慮した形で、1)単位面積あたりの収量をあげる、2)耕地面積を拡大する、が基本戦略。LISA(Less Input and Sustainable Agriculture)を実現しながら二つが可能となるのがベスト。

1)の解決の方法としては、最近開発の世界で注目されているSRI(System of Rice Intensification)という農法が1つの解決方法となりうるかもしれない。これは特段の現状のインプットを特段変化させることなく、農法を変えることで収量増が期待できるもの(環境にもやさしいということになっている)。

2)については、いたずらに森林を伐採して耕地を広げるのは問題だけれど、ポテンシャルがある未開発地を農地として開発するのは必要な話だし、例えば普通は植物が育たないような耕作不適地(アルカリ土壌や酸性土壌など)で穀物が生育可能となれば尚いいわけです。

これらを実現するための一研究方向として、遺伝子組み換えを使ったものがあるけれど、これも組み換え作物の健康上の懸念や生態系への影響などからまだまだ議論の最中(僕が日本の大学院で所属していた研究室がまさにこの分野の研究を行っていたのだけれど、教授がいつもこういった議論をしていた記憶あり)。

逆に、需要を抑えるという意味で、例えば先進国の飽食を抑える、生産に大量の穀物を必要とする肉類の消費を控えるとか、そういった案も考えられる。しかし、人間は一旦享受してしまった豊かなレベルを落とすには抵抗があるもので、大きな方策としては現実的ではないけれど、一人ひとりが意識して行動することは重要。

と、結論も脈略もなく書きなぐってしまったけれど、とにもかくにもエネルギー問題や環境問題とも密接につながるこの食糧問題。この問題は、人間が生存する為の最も基本的で重要なこと。いろいろ物事は繋がっているのでTrade offの面はもちろんあるけれど、バランスと優先順位を考えて解決すべきだし、解決の為には様々な関わり方がある中で、微力ながら自分の出来る分野に関わることで多少なりとも貢献できればと思う。

人気ランキングに登録しました。↓のバナーをクリックして下さいますと幸いです。


2 Comments:

Anonymous Anonymous said...

そういえばちょっと前のScienceの記事にこんなのがありました。
http://www.sciencemag.org/cgi/content/full/319/5869/1474

地球温暖化についてIPCCが有名になったように農業と開発に関してもIPCCと同じ手法を用いて途上国開発に対して最新の研究から何ならかの方向性が示せないかという会議the International Assessment of Agricultural Science and Technology for Development (IAASTD)というのが開かれたそうなのですが、GM農作物の取り扱いなどをめぐって会議は紛糾して第一回目はあんまりうまくいかなかったようです。

地球温暖化という、10年前には漠然とした話しが、明らかに人間の勝つ度によるものであるというコンセンサスが政府間で得られるところまで来ていますから農業についても同じような方向性が示せると良いんでしょうね。

10:10 AM  
Blogger nakacho said...

> みのるさん、

土曜日のSurprise partyにコメント有り難うございました。今回は240個の生卵をAさんにかけて、その上で羽毛をカラダにつけることで孵化してもらいました。

つまり、頂いたラブラブでシャワーにはいるというコメント、完璧当たってまして、コメント読み上げたときには皆大笑いでした。

さて、農業ですけれど、理想はそうですよね。一方地球温暖化は皆一様にGlobalに影響をうけますが、農業はある意味Regional、ないしLocalな部分もあり、コンセンサスを得るのはより難しい気もします。。

1:40 AM  

Post a Comment

<< Home