Sunday, February 18, 2007

安藤忠雄 本読了

先学期終わりに友人から借りていた安藤忠雄の以下3冊、ようやく読了。

「建築に夢をみた」NHKライブラリー
「安藤忠雄 建築を語る」東京大学出版会
「安藤忠雄 連戦連敗」東京大学出版会





この3冊は共通して、建築に関する様々な記述はもちろんのこと、建築の素人にも理解できる彼の建築に対する考え方や人生の過ごし方なども述べられている本。というのも、この3冊とも彼のNHK人間講座のテキストや東京大学での講義をもとにまとめられた本で、全体的には詳細な技術論というより読者に対するメッセージ性が強い内容となっています。従いこれらの本には、建築とは関係のない読者でも彼の考え方を自分の目的意識に引き付け咀嚼しなおせる普遍性があり、大変勉強になりました。

これらの本を通じて、僕が僕なりに捉え直した主なメッセージは以下の通り(僕なりの解釈も入っているので、必ずしも彼の言っている通りではありません。尚、イタリックは引用部分)。

-年代毎の過ごし方 -
多感な20代を緊張感を持って生きていけるかどうかが、40代-50代に自分らしい生き方を貫けるかどうかの分かれ目に(「建築を語る」P.7)

-時間軸 -
温故知新。旧いものをなるべく残しつつ、新しいものを取り入れる。

-空間軸 -
インターナショナリズムとリージョナリズム。同時代性、普遍性や均一化、画一化と気候風土、固有の文化の表現。後者を大事にしつつ、後戻りが困難な前者をどう調和させていくか。

-発想と制約 -
解を出すのに自由な発想からはいるか、制約条件からはいるか。まずは着想を大事に。夢を捨てず、あらゆる可能性を求めて、現実の諸条件を克服する知恵、勇気と決断力が不可欠です。(「建築を語る」P.136)。

-発想する力 -
常に考えること。自分のことを主体的に考える力、そして自分のことを冷静に客観的にみて自ら批評したり否定できる力を常にもたなければいけません(「建築を語る」P.177)。

-旅 -
孤独ゆえに思考がさらに深まり、自分自身への問いかけへと続いていく。<中略>旅とは、単なる身体的移動を意味するのではなく、文字通りの自立した自我の発見の過程(「連戦連敗」P.192)←一人旅が前提ですね。ただ、こういう要素は連れがいて旅をしていてもあると思います。

-現場主義 -
リアリティーをもって事に望めるかどうか。現地に足を運んで、その空気に触れ、手で素材感を確かめ、声の響き方に耳を澄ますといった実体験<中略>結局力となるのは身体で感じ取った、肉体化された空間の記憶だけ(「連戦連敗」P.191-192)

僕のまわりで突き抜けている人は、生き方として、理想を通すためにぶつかる様々な現実的な制約(この本の例で言えば、法律だったり、縦割り行政やコスト、さらにClientの持つイメージ等)と戦う姿勢やその情熱を確かに持っている。どのように理想を実現していくかの方法論については人それぞれで、調整をはかりつつマイルドにしかし可能な限り理想を通すよう努力するタイプや、最初からガチンコで喧嘩していくタイプもある。まず重要なのは少なくとも自分なりの理想を持つということ。次に、その実現のために現実の壁にぶちあたったとき、どのようにそれを乗り越えていくか(実際よくぶつかるんだな、これが)。その方法を模索し実行するだけの強さを今後の人生で持ち続けられるか、いや持たなければならないんだろうと思います。

僕のもう過ぎてしまった20代、そしてこれから生きて行く30代以降、生かすも殺すも僕次第。40代以降に自分らしく生きることができるよう、これからもまだまだいろいろアンテナ張って過ごしていければいいなぁと思う。

今回3部作読んで始めて知りましたが、彼はかなり熱いですね。最近、なんだかちょっと自分の中で熱さが冷め気味だったので、いい刺激になりました。

備忘録

こちらに持ってきている靴下達が大分擦り切れ始めていて、穴の開いた靴下などもでてきたので、持ってきた裁縫道具(兄貴が使っていたお下がりで小学校の家庭科時代から使ってるもの!)で今日、踵に大きな穴が開いていた一足を繕ってみました。これでもうちょっと長く履けます。

3 Comments:

Anonymous Anonymous said...

奇遇というか、丁度テレビでやってた建築家のルイス・バラガンをいろいろ調べてみて面白かったです。安藤忠雄の本、勉強が終わったら読んでみるっ。建築って哲学的な要素もあるのかね、不思議。ホ○イチも好きそう。勉強のペースが落ち着いてきた(飽きたともいう)のと、仕事もかなり減ってきたこともあって、今いろいろアンテナ伸ばしています。amazonで買いまくりです。靴下ネタ、うけた!ハマ

10:08 PM  
Anonymous Anonymous said...

こんばんはー。
安藤忠雄!あのね、この間の地元N会年末飲みで、P氏があまりよく知らないというので、有名かどうか、有名ならどれくらい有名か、という話を一生懸命説明しようとしたんです。。
今度NAKACHOサンから解説よろしくお願いします。。・・P氏、勝手にこんなこと書いてごめんなさい。。。ォーャ

9:39 AM  
Blogger nakacho said...

>ォーャ

P氏と言えば、Pちくんのこと?!

なんか想像できるな(笑)。あれ、去年の忘年会、建築やってるKつらくんが初参戦したんじゃなかったっけ?彼には説明してもらわなかったのかな?

ま、僕でよければいつでも説明しまっせ。Pちくん!

>ハマちゃん

>安藤忠雄の本、勉強が終わったら読んでみるっ。

是非是非。

>建築って哲学的な要素もあるのかね

あるとおもうよ。農業開発も、まけじとあるとおもうよぉ。

>ホ○イチも好きそう。

↑これ、笑った。


>今いろいろアンテナ伸ばしています。

さすが、ハマちゃん。ブログで情報発信して下さい。僕も参考にします。

>靴下ネタ、うけた!

思わず繕ってみました。単にベタ縫いしただけだけどね。ま、誰も見ないからさ。

6:31 PM  

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