Middle Eastern Politics: A Palestinian Perspective
パレスチナといえば、留学直前に仕事で行きかけた場所。いろんな事情で僕はいかなくなりましたが、その準備でいくつか本を読んだり現地の話を聞いたりしていたので、なんとなく身近に感じられての聴講。
氏はいろいろお話されてましたが、僕個人が細かい政治的な歴史など不勉強で承知していない部分などあるのでそれに関連することは省くとして、簡単にまとめてしまうと今後は
- 当事者同士の解決は難しく、第3者を含めて交渉を進めるべき
- Palestinianは解決までnon violent resistanceを行っていくべき
と主張していました。
とにかく彼はenergeticで饒舌、ジョークも交え身振り手振りも大きく、使っている言葉も高級で(というかムツカシイ・・・)、外交の最前線で、どちらかといえば弱い立場の国の益を主張するにはあれくらいでないとという印象。
講演後は一部の観客からstanding ovationも。興味深いのは、アラブ系の学生もいればユダヤ系の学生もいるので、その後の質疑応答でユダヤ人の立場からの質問に対して拍手する観客もいればそれに対する氏の反論に拍手する観客もいて、多様性を感じました。
質疑応答で印象深かった議論を二つほど紹介。
ひとつは教育の問題。Non violent resistanceを進めていくには憎悪と取り除いていく教育が大事ではということですが、氏曰く、パレスチナの教科書は人種や宗教に偏りのない内容になっているものの、それ以前にガザ地区、西岸地区の現場は酷すぎる状況で、教育云々より、日々の生活で憎悪が生まれてもしょうがないような状態だという話(だからviolenceを認めるという主旨ではない)。
もうひとつは宗教の話。パレスチナをイスラム原理主義とつなげる議論もあるけれど、氏は原理主義は3つあると理解すべきだと主張。つまり、ユダヤ教原理主義、キリスト教原理主義、そしてイスラム原理主義。ひとつだけが悪というような議論は如何なものかという話。
教育についてもhmmと考えさせられます。中学生の時の道徳の時間に、浄土宗の開祖法然上人が、父親を殺した相手に対する復讐の念を、悪の連鎖を生むということで自ら放棄したお話を習った(ような気がします。。間違えてるかな??)ことを思い出しますが、相手方が同様の価値感を持っていないと(じゃ俺もごめんなって言ってもらえるかどうか)、現実的には結局強い側が自分の思い通りにしてしまうのかもしれません。特にこういった国際政治の舞台で国益を最大化するような争いでは、自分達の言い分を最大限認めさせる方向で皆さん動くのだろうから、ますますそういう傾向は強いのでしょう。
個人的な性格として相手をコテンパンにするのは好きではないので(ま、そういう能力もないけど)、「強きを挫き、弱きを助ける」的発想から、利益むき出しの交渉には僕は性格的には向いていない気がします。
宗教の話から思うことは、物事はいろんな側面があるので、複数の眼を持って様々な立場を知ったり想像したりすることが重要だということ。ただ1つ問題なのは、それは価値基準が複数存在するということで、問題を解決しなければ行けない場合、結局誰がどの価値基準に基づいて判断を下すのかということ。第3者が交渉の中で双方の譲れるところ、譲れないところ、双方同じ程度の譲歩等々勘案して解決を目指すのでしょうけれど、その判断そのものに絶対的な中立は期待しえないのかもしれません。中立というか本質的判断も、歴史的解釈や学問的裏付まで戻るべきにしても、複数学説が存在する可能性もこれあり、それなりに困難はありますね。
ムツカシイですが、前向きに、関係者全員が解決するんだという強いwillさえ持てば、話は進むものと信じたいですし、そういう風に行動すべきだと思います。
話しは変わりますが、昨年もDalai Lamaがうちで講演したりと、うちの大学は様々な立場を認めているように感じ、かなりリベラルな学風だなと感じます。
さて、もうひとつ突っ込んで、僕は日本人で開発に関わっているものとして自分の興味から、では日本はパレスチナにどんな支援をしているのかいうことをちろっと書いてみますと、日本は「平和と繁栄の回廊」構想を掲げ農業支援を含めた技プロ等の支援を行っています(参照:外務省HP 、JICA HP <←ちなみにこのJICAのHPに、会社の同じ部署の仲のよい後輩が写っていて驚きました・・頑張ってるなと>)。僕がいくはずだった調査に行っておられた方々の感想を聞いて僕なりの考えも含めての印象ですが、現場レベルでは、宗教や政治的に双方に関係の薄い日本が、仏教的中道の立場からどちらににくみすることなくneutralな立場で、淡々と技術をもってあの地域に貢献できるのではないか、ということ。農業技術的には、乾燥地節水灌漑農業などちょっと不得意な部分はありますが、マネージメントや農産加工、なによりあちらの方にも人種的に受け入れられやすいということはあるのかな、と考えたりしています。
どちらが良い悪いということを超えて、また交渉云々などtechnicalなこともとりあえず置いておいて、とにかく争いはなくなって欲しいものです。
追記
氏は多少「r」の発音に特徴があったのですが、僕の前に座っていた恐らくundergradの男女のグループが、その特徴ある発音がツボにはいったらしくクスクス笑っていました。どこの国にもこういう子達はいるんでしょうが、seriousな話題なんだし、ちゃんとまじめにきかんかい!とちと不快になりました(ってこんなことを思うということはおっさんになった証拠か?!)
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3 Comments:
Cornell Daily Sunでこの講演会について少し読みました。
パレスチナのハマスという公党とテロ組織に交渉は確か意味ありません。そういう組織はイスラエルは存在していることを反対しています。そういう考え方持っている人は今日ニュースで出たテロ事件を起こす。
http://www.nytimes.com/2008/03/07/world/middleeast/07mideast.html?_r=1&hp&oref=slogin
それから、こんなあたりは地図を見たら、イスラエルだけどはアラブ系じゃないです。だけら、イスラエルは非常に気をつけなくては行けません。歴史的にイスラエルは全部アラブの近所達にアタックされました。残念ながら近状はあまり信用出来ません。それから、パレスチナ人はそういうアラブ対イスラエルの戦争のせいで難民になりました。
> Scottns,
この問題は非常に解決が難しいのだろうと思います。事の発端についての歴史認識や領土の問題だって双方に独自の主張もあるだろうし、同じ土俵で議論することすら難しいのだろうなと感じます。
僕の立場は基本的には中立です(単に不勉強ということもあるけど)。
少なくとも、憎悪が憎悪をうんで人を殺めるような悲しい出来事だけは、お互いしてほしくないなと思います。
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