Thursday, November 18, 2010

あれから2年・・遅まきながら留学総括

前回のアップから、2年もたってしまいました。。。ハハハ。相変わらず、忙しさを言い訳にタイムリーに物事を行えない僕の性格は変わっていないなぁ。有言「遅」実行ス。

さて、今僕は出張でアフリカはスーダンにきています。丁度まわりは犠牲祭でお休み中ということで時間がまとまって取れているということもあり、ずっとひっかかっていたこのブログの総括をようやくアップします。というか、今頃しれっとアップして、誰がみるんだろうか。。ま、記録だからね、記録。しかもすごく長文になってしまったし。。。暇な時にお読み頂ければ幸いです。

総括を書くにあたり、過去のブログエントリーを改めて読みかえしてみました。留学後戻ってきてからのアップを除くと、丸2年間で224エントリー、平均して週に約2回強アップしていたことになります(めんどくさがりの僕としてはまあまあのペースだったかと)。留学後2年間忙しく業務に追われていたこともあってイサカの記憶も遠い記憶の彼方にいっていた部分もあり、ブログを読み返すにつれ、素晴しいイサカでの日々が走馬灯のように思い出されました。ブログエントリーの第一稿で挙げた本ブログの作成目的であった①留学中にしたこと、考えたこと、がわかるような記録、②皆様への発信、という意味で、まさに振り返りができるよい記録となっているなぁと。発信という意味でも、数少ないながら知人達にはみてもらっていたようだし、途中から背伸びして手をだしたブログランキングでも、僕が知っている範囲で瞬間風速22位までいけたことは、いい思い出になりました。

さて、留学前に個人的に掲げていたこと、そしてその振り返りを簡単にしてみたいと思います。

【留学前目標】
①Social ScienceでHands onのskillを何かしら身につけ、修士論文はQuantitativeがMust、自分でデータを収集し、勉強したSkillを使ってまとめる。
②インターンをする。
③2年目から奨学金を取る(出発時点では奨学金ゼロ)。
④英語が上達する。
⑤友人を沢山作る。
⑥なにより留学ライフを楽しむ。

【留学後実績振り返り】
①まずよかったと思う点は、遅まきながらSocial Science(社会科学)における開発分野でのacademicな研究にかかる大まかなイメージをつかむことができたこと。履修した授業は、結果として理論と技術の両面のバランスがよくとれていたと自分的に考えている。理論面では、農業農村開発にかかる背景理論や公共・民間の役割に係る勉強ができたこと、技術面では主に統計やGIS、またビジネススクールのコア(マーケティングとアカウンティング)を勉強したことは非常によかった。修士論文は、それまでの業務を通じた問題意識であった「インフラや自然環境、社会経済状況等の各種指標の何がどの程度その地域の貧困緩和に実際に効いているのか、academicに示すことはできないか」について、スリランカで現場調査をし入手したデータをGISと統計を用いて分析し結果を考察するという、当初の目標通りの論文をかくことができた。また今後のresearch interestとして、開発分野において地理的空間的なアプローチでempirical studyをやっていきたいという方向が見えたのも大きい。会社での業務もベースになっていることは間違いないが、留学で明確になった。もうちょっと経済と統計を深めたかったなという点を差し引いて、80点/100点。

②インターンは戦略ミスで実現せず。1年目終わりのsummer breakをもっとうまく活用すればよかった。当初修論のテーマや現地調査をはやくきめなければと焦っていたこともあって夏休みをそれにあてようとしてたのだけれど、結局だらだら過ごしてしまった。結局2年目のfall semester中に対象国をスリランカに決め、最後のwinter breakに調査に行ってもなんとか修了できたわけで、最初からsummer breakはインターンとわりきっておけばよかったと思う(まあその分イサカの素敵な夏の経験と、日本への一時帰国で息抜きができたわけだけど)。これは0点/100点。

③細かいことは省略するとして、奨学金やその他含め結果としてお金についてはことごとく恵まれなかった。トホホ。借金はほとんどしなかったけど(最後親から少しだけしたかな。でも今は完済。。。のはず)、貯金は底をついてしまい、復職後はもう本当にゼロからの出発だった。実は留学に際し西海岸のとある大学院から奨学金付きのOfferをもらっていたものの熟考してこのプログラムを選んだということもあり。。。もしあっちいってたら人生だいぶ変わってただろうな。でも後悔は全くしていません。こちらも0点/100点。

④英語・・・読み書き聞く話す、それぞれそれなりには上達したと感じるし、英語面では度胸もだいぶついた(仕事上先方政府等への英語でのプレゼンとか全く苦にならなくなった)けれど、当初予定・期待したnativeとがんがん議論するレベルにははるかに届かず、文章も格調高いものはまだまだ書けず。これは今後も引き続き課題。65点/100点。

⑤友人は、日本人の方々をはじめとして、自分のプログラム所属の友人、また似通った興味を持つ他プログラムの学生をはじめ、それなりに作ることができた。惜しむらくは、MBA等のきちっとしたコースではなかったことから、プログラムの中での学生の強い結びつきというのが希薄であり、広く浅くといった印象になってしまったこと。これは選択したプログラムの問題でもあるから、止む無し。友人達の帰国後の進路は開発関係でいえば、出身国の省庁、NGO系、援助機関、研究者ってとこかな。付き合いとしては少し日本人の友人に偏重した感も否めないところではあるけれど(いい悪いではないです)、70点/100点。

⑥なによりこれはもう本当に大変楽しんだ。アメリカに住んだことで得られた様々な文化的経験、友人達との楽しい学生生活、美しいイサカの町・キャンパス、ワイナリー、BBQ、各種飲み企画、NYCを始めとしたアメリカ・南米旅行、JGSA幹部、日本人開発の会会長(これはこのカテゴリーでいいのか!ま、半分socialって意味で)、テニスにサッカー、・・・・全てが本当に素敵な2年間のいい思い出で、僕の人生にとってかけがえのない1ページに。100点/100点!

こうやって振り返ると、こんなふうにやったほうがよかったなぁとかやっぱりでてきますねぇ。でもこれが当時の自分の実力だったわけだし、自分の責任のもととった判断なので悔いなし。lesson learnedは今後の人生にいかしたいと思います。


さて、留学後は休職前の会社に戻り2年半業務を続けているわけだけど、この間出張した国、主な業務を書いて見ます。

インドネシア:会計整理・事務所閉鎖などマネージメント業務、農産物流通調査
カンボジア:全国レベルでの灌漑開発ポテンシャル評価
ケニア:灌漑案件の事業計画見直し
スーダン:国家レベルの稲作振興政策作成支援
ミクロネシア/マーシャル諸島:民間流通案件投資可否検討

多様な地域、業務だけれど、これら全てに留学中に学んだ知識が直接間接にかなり活かされているし、何より留学後は、仕事に対して物の見方というか、視野がパッと開けた、そんな感じがしてます。元来いろんなものに興味がある僕は、国や内容が毎回異なる今の業務はいつもワクワクするし、2年勉強した後、その知識を背景に世の中にreal impactを多少でも与えられる実務に携われるのはやはり楽しく(自分の実務経験が日本のODA関連業務だけでよいのかという問いかけはいつもしていますが)、時間がたつのがはやくあっという間に2年半が経過してしまった感があります(ブログへ総括アップがおくれた言い訳か?!)。

一方で、農業農村開発、地域開発を軸/切り口にして、どうすれば発展途上国において持続的発展(主に経済発展)が可能となるのか、またその結果どのようにすれば格差が極端には広がらず発展の恩恵を皆が裨益することができるのか、文化の違い等地域による固有の事情をどのように開発モデルや思想に組み込めばよいか、公正な発展とは何か、といったacademicな問題意識は実務に戻った今も強く持ち続けていて、今後もこれら問題意識に対する解を探し続けたい、そう思っています。そのためには、実務と理論をバランスよく経験し続けることが大事なのではと思っていて、そのサイクルによって経験・思索が理論として昇華され、その理論をもとにまた経験・思索を継続する、そんなスパイラルを実現したいなぁと。

またこの間一年だけだけど会社で労働組合の支部長をやることになり(羽目になり?!)、会社との交渉を通じ民間企業の経営と労働者の働く上での権利のバランスという観点を学ぶことができたこと、そして会社及びこの業界で最低限必要な資格(技術士)を取得、あわせてプライベートでもかねてからの懸案(?!)であった結婚も無事することができました。留学後もなにかとばたばたと走ってきたけれど、そろそろ人生の次のステップに進む段階にきたかなぁと思います。今年35歳にもなったし。あぁ、もう35歳かぁ。元気で動き回れる年齢を70歳程度までとすれば(平均寿命はもうちょっとあるけど)、おおよそ折り返し地点ですな。 同じような年齢の人でも、ビジネスの世界でも日本や、日本を飛び出し精力的に起業する等頑張っている方々もおられ刺激を受けるし、もういつまでも若い若いなんていってられない年齢でもある。まあ僕は僕でマイペースながら、着実に進んでいきたいなと。

そしてこれからも、信念をもち、自分のココロの内なる声に無理せず従いながら、当面“不惑”の40歳をマイルストーンとしてまだまだ走りながら迷い惑いつつも進んでいこうと改めて決意した次第です。やっぱり「振り返り」って大事っすね。なんかこれ書いててモチベーションあがった感じ。

さあ、これでいよいよこのブログはおしまいです。これまでのエントリーは、自分に対する記録そして同様の興味をもっておられる方への参考の意味も含めこのままにしておきます。もし僕に連絡してみたい方がおられれば、最後のエントリにでもコメントを残して頂ければと思います。ブログ自体はまたどこかでふと形を変えて再開するかもしれませんが、その際にはこのブログもリンクさせたいなと思います。

最後に、つたないブログを最後まで読んで頂いた方に、そして今後の自分に対しても、次の4つの言葉(どれも過去のエントリーで取り上げています。少しmodifyしましたが)を贈って終わりにしたいと思います。留学の総括ではあるけど、次のステップへの始まりという意味をこめて改めて。

- If you have a dream, give it a chance to happen.
- It is never too late to be what you might have been/wanna be.
- You can because you think you can.
- Stay Hungry, Stay Foolish.

これまで長い間お付き合い頂き、どうもありがとうございました。

スーダンの首都ハルツームにて



<ケニアの水田の様子。収穫を待つ稲穂達と上空の清々しい、素晴しい雲の様子がよくマッチしていて、とても好きな写真です